京都府立京都学・歴彩館
東寺百合文書WEB

百合百話 (ひゃくごうひゃくわ)

28. 薄墨(うすずみ)の綸旨(りんじ)

2014-10-27

突然ですが、古文書の醍醐味といえば何でしょう?

ミミズのようなくずし字を読み解くこと。

有名な人物の筆跡や筆の流れを堪能すること。

答えはさまざまですが、「どのような紙が使われているか」も興味深い点のひとつではないでしょうか。

そこで今回は、「紙」に注目しながら古文書を眺めてみましょう。

 

せ函南朝文書9号 後醍醐天皇綸旨

せ函南朝文書9号 「後醍醐天皇綸旨」元弘3(1333)年6月19日

 

上の文書の紙は白色ではなく、薄い墨色をしています。

これは一度文字を書いた紙などを漉(す)き返して作った再生紙を使用しているからです。

このような紙を「宿紙(しゅくし)」といいます。

 

文書をよ~く見つめてみましょう。

 

syukushi_01
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2行目1文字目の「奏」の左隣や、5行目5文字目の「也」の右隣などに、墨の痕跡のようなものが見えます。これは古紙の墨の跡です。宿紙を製造するにあたり原料の古紙は、水を含ませた後に叩いて細かく切りほぐされます。おそらくその作業が足りなかったのでしょう。

 

この宿紙ですが、綸旨――天皇の秘書官である蔵人(くろうど)が天皇の命令を取り次ぎ、伝える際に書いた文書によく使われました。「薄墨の綸旨」という言葉がそのことを雄弁に物語っています。例にもれず、上述の文書は「後醍醐天皇綸旨」で「宿紙」が使われています。綸旨に用いる宿紙は、その神聖さや荘厳さを際立たせるために、さまざまな加工を施して墨色を濃くするようになりました。

 

一方で、日用の紙としても宿紙は使われていたようです。ただしこの場合、紙の品質は前述の宿紙に比べずっと粗末でした。まさに、現代人の我々がイメージするところの再生紙に近いものだったのかもしれません。

 

(鍜治:歴史資料課)

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